100%イタリアメイド。卓越した匠の技と最先端技術が生み出すデザイン、そしてこだわり。

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ミラノ伝統の職人による鞄作りと、最新技術の融合。そのハイブリッドなモノ作りこそ、セラピアンの最大の特徴

半世紀以上にも渡って、世界中のセレブリティを虜にしてやまないセラピアン。その魅力は、ひとえに、クラフツマンシップに裏付けられた独創的なデザインにある。

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現在、アトリエはミラノとヴァレーゼの2か所。創業時からの本拠地であるミラノには、ショップに併設された工房があり、昔ながらのハンドメイド技術を継承した20人ほどの職人たちが、新作のサンプルを製作したり、修理を行っている。そこでは現在でもオーダーメイドが可能。90年以上の伝統で蓄積されたアーカイブは幅広く、満足のいく一品を作ることができる。出色なのは地下の倉庫。1000以上にも及ぶオーダーメイド用の型紙が、1930年代の牛革、クロコダイル、パイソンといったプレミアム素材とともに保管されている。ビッグネームなどのOEMへの対応だけでなく、一般のオーダーメイド顧客もそのストックルームに通されるというのだから、一度は体験してみたいものである。

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ヴァレーゼにあるのはプレタポルテのバッグを生産するアトリエで、5000㎡もの敷地内に70人ほどの熟練職人が常駐している。2004年に設立された近代的な工場で、歴史を感じさせるミラノとは対照的なモノ作りの現場という印象だ。

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データ化された図面をもとに、CADソフトがレーザーカッターをコントロールし、自動的に素材を裁断するという最新鋭システムも導入されている。飛躍的に生産効率が向上しているが、個体差のあるレザー素材には、どうしても傷や色落ちが避けられず、それをチェックするのはキャリア豊富な職人。裁断、革漉き、コバ塗り、組み立て、縫製と、あらゆる工程で、人の目と手が介在している。最先端の技術を取り込みながらも、譲れないモノ作りのプライドをきちんと継承したハイブリッド生産体制なのである。

イタリア人がデザインをし、イタリアンレザーを使って、イタリアの工房で製造する。そんな100%イタリアメイドこそが、21世紀の現在でもセラピアンが堅持し続けるブランド哲学である。どのプロセスが海外に流出しても、求める仕上がりにはならないという。ちなみに、シンプルなバッグでもその製作工程は40から50あり、複雑な作りなバッグだと150もの工程があるという。こだわればこだわるほど工程が増えてしまうのがバッグ作りなわけだが、セラピアンはそのひとつひとつを大切にしてバッグ作りを行っている。

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たしかにセラピアンはデザインからしてユニークだ。典型的なディテールが“オレッキア(=耳)”という開口部サイドの意匠。バッグを広げやすくするための実用的な設計だが、曲線美で描かれた立体的な構造は、イタリアの職人ならではの感性と技術がなければできない。このアイコンともいえるクラフツマンシップの象徴は、1972年に発表された「Ani Bag」というボストンバッグから採用された。CEOのアルダヴァスト・セラピアンがアニ夫人と婚約したのを記念し、父親であるステファノがデザインしたというエピソードがある。

娘の出産記念として妻に捧げた「Gina Bag」(1946年)や、1960年代にミラノの女性から旅行用としてリクエストされて生まれたという「Meline Bag」など、セラピアンには、家族や顧客への思いが核となって生まれたデザインも少なくない。どれも素敵なストーリーではないか。そんな世界観もセレブリティの心をつかむのだろう。

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特徴的なハンドルの付け根もセラピアンのシグネーチャー的な構造だ。レザーの先端部を角管に一度くぐらせてから留めている。強度と耐久性をアップさせるという実用性から生まれた手法だ。この構造だとレザーの切断面が見えやすいが、そこは丁寧なコバ塗りできちんと処理。機能性をデザインに融合させたお手本といえるだろう。

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素材となるイタリアンレザーにも独自開発のものが多い。「Single Briefcase」や「Vertical Tote」に使われている“CACHEMIRE”は、上質なカーフレザーをベースにオリジナルレシピで開発された。繊細なシボ感は、まるでカシミアのように柔らかく滑らかな手触り。このエレガントさがラグジュアリーなのだ。ライナーには最高級のスエード生地を使用している。こちらの手触りも抜群の上質感だ。

日本で一番なマテリアルは型押しレザーの“EVOLUTION”。繊細な模様が奥行き感を演出するさりげない光沢感のある表情が特徴。程よいハリと硬さがあり、傷にも強いゆえ、使い勝手も良い。人気があるのも納得の素材だ。

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1976年にセラピアンの新境地を開拓した素材として“STEPAN”も忘れてならない。コットン生地にブランドを象徴する「s」の型押しをモノグラム調にあしらい、PVC加工によりウォータープルーフも施したマテリアルだ。「Single Zip Brief」や「Secret Bag」などに採用されているが、コシのある形状のブリーフケースにも、ドレープで魅せるトートバッグにも相性がいい。型押しは職人の手作業というこだわりもセラピアンらしい。

肉厚な真鍮が高級感を醸しだすファスナーの引手、「s」をかたどった底鋲などの金具にまで注力されている。CEOのアルダヴァスト・セラピアンいわく、「一流のバッグとは、クオリティから放たれる佇まいにオーラがあり、品の良さが感じらるモノ」であると。だからこそ、型の設計に始まり、素材は金属パーツ、内装からラッピングに至るまで、全てにこだわる。それこそが一流のプロダクトとしての立ち振る舞いにつながっていくというわけだ。“神はディテールに宿る”というが、そのディテールひとつひとつにバッグ専門メゾンの矜持が込められているのだ。

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