世界で50年ロングセラーのバッグが、なぜ今の日本人に合うのか

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上質な型押しイタリアンレザーの繊細な表情が楽しめる、クラシカルモダンなデザインのブリーフケース。ダブルジップの開口部が広く取られ、A4サイズ書類の出し入れも容易。写真のオーシャンブルーの他、カラーバリエーションも充実する/¥197,000(税別)/サイズ:H30☓W41☓D10.5cm

95年の歴史を持つイタリアの老舗ブランド「セラピアン」が昨年、巨大コングロマリットの一員となった。高く評価されてきた職人気質のバッグ作りは変わってしまうのか。そして、現代のビジネスパーソンが型押しレザーのバッグを選ぶべき理由とは

世界には“老舗”と呼ばれるさまざまな企業やブランドがある。しかし、どれだけ時代に愛された企業やブランドであっても、変化の波を乗りこなし、長く生き残っていくことは容易ではない。

イタリアはミラノで1923年に創業した「セラピアン」は、世界中のセレブリティに愛されてきた老舗メゾン。イタリアンレザーに魅せられた創業者が廃材を利用して革小物の制作を始めたところから始まり、高いデザイン性と機能性を備えたそのバッグは、英国王室やハリウッドの名優たちをも魅了してきた。

創業95年のこのブランドにも今、変化の波が押し寄せている。昨年、「カルティエ」や「ピアジェ」を筆頭に錚々たるブランドを扱う世界3大ラグジュアリー・コングロマリットの1つ、リシュモン・グループの一員に加わることが発表されたのだ。

これによりセラピアンは、どう変わっていくのか。高く評価されてきた職人気質のバッグ作りは失われてしまうのだろうか。

その答えには、日本のビジネスパーソンがセラピアンを選ぶべき理由も隠されていた。

オリジナルのイタリアンレザーを独自開発してきた

「創業時より一貫して、私たちのメゾンの根源にあるのは伝統とオーセンティシティ。セラピアンは今後も、ミラノで最もエクスクルーシブかつオーセンティックなレザーブランドであり続けますし、私たちの価値観や卓越したクラフトマンシップ、洗練されたデザインを保ち続けます」

リシュモン・グループに加わることについて尋ねると、セラピアンのジャコモ・コルテーシCEOからはこう答えが返ってきた。


セラピアンのジャコモ・コルテーシCEO

1928年に構えられたミラノの小さな工房と、2004年に新設されたヴァレーゼの近代的な自社工場のみを拠点に、皮革の処理からバッグになるまでの工程を全てイタリア国内で完結させる――。最高品質のイタリアンレザーの使用に加え、一貫した“100%イタリアメイド”へのこだわりがセラピアンの伝統だ。

とはいえ、こうした不変の哲学に加え、時代に合わせた革新も遂げてきた点にこそ、現代のセレブリティにも愛され続けている理由がある。

セラピアンの歴史は、ある意味では革新と進化の歴史だ。

繊細な模様と独特の光沢感が特徴的で、水濡れや傷にも強い型押しレザーの「Evolution(エボリューション)」や、その名の通り柔らかな手触りが表現されたシュリンクレザーの「Cachemire(カシミヤ)」など、オリジナルのレザーを時代に合わせて独自開発。1970年代には、コットン生地にウォータープルーフのコーティング加工(PVC加工)を施した新素材「STEPAN(ステパン)」まで開発し、新境地を切り拓いた。

「クラシック回帰」のトレンドにぴったり

常に“最高のモノ”を求める顧客のわがままな要望に応えるために、セラピアンが生み出してきた独自素材。現代の我々にとって、それらはそのままベストなビジネスツールを選ぶための選択肢となる。

例えば最近のファッショントレンドから紐解けば、スーツ選びのキーワードは「クラシック回帰」となる。となれば、50年以上に渡りイタリアの伊達男や英国紳士たちに愛されてきた「エボリューション」がぴったりだ。


50年以上も愛される定番素材の「エボリューション」。上質なイタリアンカーフレザーに丁寧かつ細かな型押しを施すことで表現される、繊細な模様とさりげない光沢感。箔押しのブランドネームや造形の美しい真鍮の金具など、細部にまで宿るクラフトマンシップが満足度を高めてくれる

国際的な存在感を高める機会

ダブルジップ2室仕様のブリーフケース(冒頭写真)には、すっきりとした印象のスリムタイプも(下写真)。どちらもタブレットやスマートフォンなどを収納できるインナーポケットに加え、外装にはトロ―リーのハンドルにアタッチできるスリーブと、ビジネスシーンで重宝する機能が充実している。


2ルームでありながら薄マチなデザインがスタイリッシュな印象を与えるスリムタイプのブリーフケース。開口部の広いダブルジップ、ファスナー付きの大ポケットやペンやスマホなどの収納に便利な小物ポケットなど機能性も抜群/¥138,000(税別)/サイズ:H28☓W38☓D7.5cm

さらには、スーツスタイルに映えるフラップタイプのクラッチバッグや、小物をまとめるのに便利なマルチポーチ、飽きのこないシンプルなデザインの二つ折り財布など、エグゼグティブに似合う小物類も同素材で展開される。


フラップタイプのクラッチバッグは今季の新作。開くとファスナー付きの大ポケットに加え、スマホなどを収納できる2つの小ポケットがある。ブリーフケースなどと同様、インナーには高級スエード生地のアルカンターラを採用し、タブレットなどが傷つかないよう配慮されている/各¥79,000(税別)/サイズ:H26☓W34☓D4.5cm


単体で使えばミニクラッチ、バッグインバッグとしても重宝するミディアムサイズのマルチポーチ/¥54,000(税別)/サイズ:H21☓W30☓D2.5cm。使うほどに馴染むカーフレザーの風合いとミニマムなデザインで長く愛せる二つ折り財布/¥37,000(税別)/サイズ:H9☓W11☓D1cm

CEOのコルテーシ氏は、インタビューでこうも語った。「リシュモンとの“結婚”は私たちのブランドが国際的な存在感を高めるための素晴らしい機会です」。その革新の歴史に、新たな1ページが刻まれたということだろう。

かつてハリウッドスターたちがこっそり通ったミラノの小さなブティックから、世界の、そして日本のビジネスシーンへ。

本物を知る人々に長く愛され、伝統と革新を融合させることでいつの時代にも輝きを放ってきたセラピアンなら、ビジネススタイルを間違いなく格上げしてくれる。

写真:宇田川 淳
スタイリング:小林 伸崇
文:西田 嘉孝
(※本記事はNewsweek編集部の取材記事になります。)