世界のセレブリティから愛され続ける、バッグ専門メゾンの系譜

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90年以上の歴史をもつバッグの老舗ブランドがミラノにある。その名は「セラピアン」。エレガントなデザインと頑ななクラフツマンシップにより、時代を問わず、多くのセレブリティたちに愛されて続けている。日本では、2015年から本格展開を始めたばかりということもあり、今のところ、まだ知る人ぞ知るブランドなのかもしれないが、ヨーロッパではよく知られたバッグメゾンである。

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創業は1923年。イタリアンレザーに魅せられたステファノ・セラピアンは、職人の工房にある廃材を利用してレザー小物の製作を始める。自ら自転車を駆り、それらをブティックへ販売する毎日。その甲斐あって、オリジナリティ溢れるセンスと、職人としての腕前が評判となる。やがて、ビジネスパートナーでもあり、妻となるジーナ・フローリと出会い、1945年には、後のセラピアン本社となる小さな家をミラノに購入。バッグ工房として本格始動する。

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イタリアの皮革産業は、フィレンツェがあるトスカーナ州だけでなく、カンパーニャ州やヴェネト州、そしてミラノがあるロンバルド州という4つの州で盛んだ。17世紀には、中世ヨーロッパの皮革産業最前線だったスペインから技術が流入し、イタリア各地のレザー加工技術が飛躍的な進化を遂げたともいわれている。ミラノという土地も、古くから、レザー職人たちのクラフツマンシップが根付いた場所だったのだ。

話をセラピアンに戻そう。折しも第二次世界大戦直後、豊富な素材とカラーからオーダーメイドを楽しめ、自国への誇りも感じさせてくれるイタリアメイドのバッグは大ブレイク。新しいトレンドを探していた上流階級のミラネーゼたちの口コミで瞬く間に広がっていった。その評価は国外まで届き、英国王室の御用達バッグとしても採用。メゾンとしての確固たる地位を確立する。当時の代表作といえば、1947年にローンチされた“MOSAICO”だろう。短冊状のラム革を1本ずつ手作業で編んだイントレチャートを採用した傑作だ。

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1950~60年代になると、映画産業が盛んだったイタリアには、多くのセレブリティがやってくるようになる。そして、彼ら、彼女らは、チネチッタなどで撮影をしては、セラピアンを求めてローマからミラノのブティックまで足を運んだという。イングリッド・バーグマン、フランク・シナトラ、ハンフリー・ボガート、ベティ・デイビスなどなど、錚々たる顔ぶれが愛用者となった。さらに、映画『おしゃれ泥棒』では本編中でオードリー・ヘップバーンが使用。それにより、世界的なセラピアンの人気には、さらに拍車がかかる。

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創業者ステファノ・セラピアンの死去とともに、1973年から、息子で現CEOのアルダヴァスト・セラピアンがブランドを引き継ぐ。ウォータープルーフ仕様のコットン生地を採用した“STEPAN(ステパン)”での成功をきっかけに、アメリカ・ヨーロッパ・アジアへの本格的な進出が始まる。アパレルなどのメゾン系ブランドにも高く評価されてOEMを手掛け、自社ブランドとしては、メンズコレクションの拡充もしていく時期となる。

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2000年代に入ると、ミラノの北西にあるヴァレーゼに自社工場を建設。現在では、CADを駆使したレーザーカットなどの最新技術を取り込み、時代に合わせた生産体制を敷いている。とはいえ、職人によるハンドメイドでなくてはならない部分は妥協せず、100%イタリアメイドにもこだわり続けている。なにしろ、ここまでのビッグネームになりながらも、バッグ作りひと筋を貫いているのだから、本当に一本気な職人気質である。

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そんな変わらぬクラフツマンシップがある本物志向だからこそ、いつの時代でもセレブリティに愛されるのだろう。テイラー・スイフト、ケンドリック・サンプソン、有名スタイリストのカレン・ラファエルなど、これまた豪華絢爛な愛用者たちである。まさに、“一流は一流を知る”といったところだろうか。